初音ミクがいる生活「ProjectDIVA Future Tone DX」(追記あり)
初音ミク「ProjectDIVA Future Tone DX」。
そう、初音ミク「プロジェクトディーバ」の集大成としてついにリリースされた本作。
ダウンロード専用で販売されていた「Future Tone」の完全版らしい。
これはアーケード版と家庭用プロジェクトディーバの集大成であり、全ての初音ミクファンへの最大級の贈り物であり、これから始める人への完璧なる入り口にもなる一本なのである。
……と思ったので買ってやってみた。
ちなみにPS3の「F」と「F2」、3DSで「プロジェクトmiraiでらっくす」しかやった事がない、あまり詳しくないプレーヤーの感想です。
ザクっと箇条書き。
・楽曲数が凄まじい
まずはコレ。全部で250曲近く最初から収録されている(もちろん全曲PVでプレイ!)。
今までこのシリーズをやった事がない人が、最初にこの一本を選ぶとするなら諸手を挙げてお勧めしたい。間違いなく衝撃を受けるボリュームと、高クオリティのPV、自分好みの楽曲を見つける楽しさがユーザーを迎えてくれる。
モジュール、と言うか「衣装」を集めてそれを着せてリズムゲームに臨むだけで途方も無い可能性と楽しみを感じさせる。
・私はこいつでコミュニケーションも取れた
自分は妻とプレイしているが、プレーヤーの失敗やPVの面白い展開などから何度も笑ったり盛り上がったり、笑ったから失敗しちゃったり、を繰り返して遊んでいる。
私も下手だが妻はもっと下手だ。観ていてかなりイライラする事もある。
でも、それを一緒くたにして互いの下手くそを笑って、もう少し頑張った先にあるクリアまで励まして、それを達成した時に共に喜ぶ事が出来ている(汚い嫌な分析かもしれないが、私は利害の一致をそこに見る)。
妻と私は互いに、相手が金と時間を捧げる対象を理解出来ない人間たちだ。
相手は私が貪る様に本を読む事を「夢見るだけの逃避」と考えている。
私は相手がアイドルに金と時間を落とす行為を「偶像崇拝」と考えている。
毛ほども価値観の合わないふたりの「時間」を共有するツールとしてこれは活躍する。初音ミクだからこそ、それが出来たのかもしれない。
初音ミクはバーチャル(非現実)だから。私と妻が共通してそれぞれ情熱を捧ぐ対象こそがコレ(非現実)じゃないか。
もし初音ミクが「これこそ音楽のもたらす力なのだ」とでものたまうのなら、それを信じたって良い。
・究極の難点がある
だがしかしコレにはとんでもない難点がある事も書かねばならない。
同時押しが凄まじくゲームの邪魔をしている。
これはアーケードで直接筐体を叩く物から、そのままゲームコントローラーに移植したから起こった弊害であるようだ。
特に私のようにプレステのコントローラーでの経験しかないプレーヤーは呆然とするのではないか。
Amazonのレビューは賛否割れているようだ(それ以外の評価は特に調べていない)。
その「曲数」を讃える声と、この同時押しのとんでもない「処理」を巡っての糾弾の声と。
実際にやっていて、これまでのシリーズで感じなかったやりにくさ(自分には高難易度はプレイ不可能だと思う)をふんだんに感じる。
さらに、同時にボタンを押させる要求を出す瞬間の画面が絶望的に見づらい。
四方八方から同時に飛び出す意味の分からない要求。どのボタンをどの順番に押すのか「視覚」で判断できない。脳で「覚えて」攻略するのだろうか。
ただの「覚えゲー」やりたいならFPSでもやってるわと嫌になってしまう気持ちもある。
だがしかし、アーケード筐体に慣れたプレーヤーから見てもコレは辛いのではないか。
これまでコントローラーに馴染んだプレーヤーと、アーケード筐体を極めたプレーヤーを同時に殺しにかかっているのか?
誰を生かすための処理だったのか? と、深く考えさせるだけのショックがある。その両者がこのシリーズを支えてきたのではないのか? 違うのか……?
・買うべき? 買っちゃダメ?
あなたが現役PS3ユーザーで「F」、「F2」を持っているなら、今作の為にPS4本体ごとの購入はしなくて良いと思う。「F」と「F2」はそれだけ遊べるという意味でもある。
もし無印Future Toneを持っているなら、その場合ももちろん買わなくていい。
これから始めようかと思っている人には至上の良ゲーになるだろうと思う。
だが、コントローラーでかつてのディーバに慣れた人には苦痛の瞬間が待ち受ける。
アップデートかDLコンテンツが入って、オプションなんかで同時押しを無くす処置などが出来るのなら、私はもう1本分金を払ってもいい。
それくらいこの同時押しが嫌いだ。そしてそれ以外の要素がとことん好きだ。
「楽しみたい」人には良いゲームだろう。
最終的には己の技術をどこまでも突き詰める方へ向かってしまう、職人タイプには辛いかもしれない。
「攻略」への道にあるのが「練習」や「上達」ではなく、「覚える」「作業」になりそうに感じる。
※以下追記です(29.12.10)
上記の同時押しには、成功への“コツ”があり、決して理不尽なものではない事をコメントより教えていただきました。
コンテンツ自体の魅力から、この同時押しがあっても(私にとっては破壊的な不条理だった……)良質なゲームに違いはないと思っていたが、どうやらこれはきちんと「ゲーム」を成立させてくれるようだ。
「覚える」「作業」という、私が抱いた攻略へのイメージも今回払拭された。
ゲームを確認してみると、一見混乱と錯乱を引き起こす同時押しでも、確かに法則を当てはめて対処できそうに見えてきたのだ(私の場合できるかどうか、は別ですが……)。
「F」や「F2」で得たイメージを思い出しました。
やはり今回も上達=「感覚」を身に付けて研ぎ澄ませる、これに繋がりそうなのだ。
こうなってはまるで状況が変わるのだ。
コントローラー出身者も、アーケード出身の猛者も、パーフェクトへ突き進む職人も、今回で初プレイの人も、全員満足いくまで「初音ミク」を堪能できそうだ。
貴重な助言をいただきました、晃さん、ありがとうございました。