「メイドインアビス」 感想
良くも悪くもネットで話題になっている「メイドインアビス」。
よく目にする話題は幼女の裸 その過酷な設定と世界観を讃える意見だったかと記憶している。
私が好きな某読書の鬼ブログで褒められていたのだから、それはもう読むしかなかった。
以下にその所感をまとめる(重大なネタバレなし)
舞台はファンタジー風のセカイ。出てくるのは大体がロリとショタ。おまけで男の娘。
でっかい穴が空いているので、主人公はお母さんを探しに(会いに)穴の奥へ。
この穴の中にはバケモノと、未知のお宝がみっちり詰まっており、その終着点を見た人間はいない。
こんな可愛い絵で冒険譚なのである。
ここでニクい設定が光るのだが、この穴には高山病の逆バージョンの負荷がかかる。
降りれば降りるほど「もう元の世界には登れない」状態になる。
「上昇負荷」と名づけられた呪いが最大のテーゼとなる。
一定のラインを超えて降りてしまえば、そこからはもう生きて帰って来る事さえ叶わないらしい。
私は「風来のシレン」を震えながらプレイする感覚を思い出した。おっさんが風来のシレンをプレイする心境と同じものをココに見つけた……。
(以下独白) 帰る手段(アイテム)が無い。たぶんもう帰れない。なのにイイ装備とアイテムを手に入れてしまった。もっと下るしかないのだが、いかんせん死にそうだ。でも帰れないのだから、奇跡のような可能性に賭けてさらに奥に行くしかない。攻略法は分かったのだ、もう一度だけやり直せるのなら、私は上手くやれるのだ。そういえば回復したいけどアイテムがない。休むしかない。あぁ、でもモンスターが近づいて来た……。全てを解決する優れた装備とアイテムがあるのだから死ぬわけにはいかない。私は、どうしても1度帰らねばならない……(上に戻ってループ)。
要するにコレです。
……違いますね。
詳しい内容や考察は、興味のある方ならば既に調べてご存知だろうか。
ところで私は「動き」に関する描写が、少し分かりにくい点だけが気になった。
作者も自覚があるのだろうから、もう少し上手くやれる展開とリアリティ重視の駆け引きにしても良かったのかもしれない。
だが、「戦い」ではなく「ドラマ」を魅せるマンガなので、不満には思わない。
静止絵が可愛いから、おっさんはつい許してしまうのかもしれない。
設定や世界観は真新しいモノではないかもしれないが、謎と伏線を考察してみると、もっともっと面白いかもよ。
そしてもう1点。
このマンガはスプラッタを気取るほどの画的な気狂いにもならず、精神的に追い詰めるヤバいタイプの作品へも振り切っていない。
この作者、実はけっこうフツウの常識人(空想脳ミソ)なのでは? と思った(リサーチに至らないので実際は知らない)。
ここからは欲求なのだが、
2度と人の世に戻れないプレッシャーなんかを設定にくっつけたのだから、ホイホイ行き当たりばったりで進んじゃうのを辞めて、もう少し死と成功率と逡巡と汚さと慎重さと葛藤を描く方が上手いのではないだろうか。
なんだかんだと読者に語らせて、考えさせる。
もうこの時点で異常なる魅力を含む作品だと証明されているのだろう。
丸っこい絵で、なんと内容の尖ったことよ。
流行りの「出落ちシチュエーション物」や、生産過多な「分かる人が萌えるだけ」の毒にも薬にもなれないモノたちに辟易するお兄様方、ぜひコイツを御賞味あれ。
アニメも面白いのだろうか。
しかしナナチ可愛いよナナチ。