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萌えってもっとデス系に行くべきだと思うんスよ 「左巻キ式ラストリゾート」

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そう語ったというのが作者の海猫沢めろん氏。同名のキャラクターが本作に登場する。

ちびっ子ロリキャラでブルマ少女の「海猫沢めろん」ちゃんだ。

私の守備範囲にはかすりもしない「めろんちゃん」だが、あらゆる少女が(主に性的な意味で)めちゃめちゃにされちゃう本作で、ただ一人別の場所を開発される(してもらう)という強者である。

本物のめろん氏は、オタクなのにホストになったという異色の経歴を持っているらしい。

 

これはめろん氏のデビュー作で、異世界エログロミステリー時々オタクネタな小説である。これもきっとライトノベルと言われるのだろう。

 

 

主人公は記憶喪失設定で、学園ハーレム状態からスタート。1ダース程の女の子たちがミステリーというオブラート、というより都合の名の下にめちゃめちゃに○される。先日から女の子を○しまくっている、卑猥で卑劣な犯人を捜すのが目的となるようだ。

女の子たちのキャラクターと人格設定もそこそこに、次々登場した数行後にはもうアレがおっ始まっている。主人公は女の子を「調査」しなきゃいけない。入れ食いってコレの事だったんだ。

そうなると、とりあえず我々読者も他にすることがないからソレを眺めることになる。テンプレ化された各種様々な女の子たち(生徒会系、ドジっ子魔法使い、おっとり巨乳、元気ブルマ、幽霊、天然ミリタリー系、ロボ、強気関西系などなど)の行為を眺め、その反応を吟味するわけだ。設定上大体の女の子が過剰に悦んでプロの女優さんみたいになってはいるのだが。

 

 

「そういえばおれって何で読書してるんだっけ?」と、ひん剥かれてヨダレ垂れ流す少女たちを眺め、そろそろ真顔で疑問に思い始める頃に、突然「謎解き」の時間がやってくる仕様。作者が正面から「ここまでに事件解決の全てのヒントがあるよ」と明かし、終盤にて堂々と勝負を挑んでくる。これは好きな人にはたまらないだろう。

暗号推しが面倒臭かったので、私は何も考察しなかったが。

 

 

ミステリーの回答と、明かされる犯人が誰なのかという点に関して、そこに絶大な驚きはない。犯人の語る理論も理屈も方法も凄く面白い(興味深い)わけでもない。

でもこの作者、読ませる。とにかく読ませるのが上手い。崩しに崩した語り口調の中に、時たまヒヤリとするような哲学や、独自の心理分析が隠されている。地アタマが良い人なのだろう。その全能力をエロとグロとオタにステ振りしているのがステキですな。

 

 

ジャック・ケッチャムは好きだろうか?

もし「嫌いじゃない」とあなたが回答するのなら、あなたはこの本を好きになる。「好きだ」と答えるのなら、もうとっくにこの本を読んでいるだろう。

ケッチャムを読む時はひたすら「うわぁ……あーぁぁ……」となるが、この本はそこまでいかず「やれ。いいぞ、もっとヤれ。ヤっちまえ」と囁く自分の心を、余裕をもって眺めることが出来る。

解説にて「ゼロ年代の作家」がどうだの「セカイ系の作家」が何だの語られているが、これは理屈とか理解とか要らないタイプの小説ですな。